2018年6月16日土曜日

道端の売店で売られていた謎の小冊子 Cerita Silat

大昔(=もちろん40年前)ジャカルタの道端の売店で文庫本くらいの大きさの薄っぺらな小冊子が屋台の柱にぶら下げて売っていた。印刷はいわゆるガリ版だ!その安っぽい本を見て、あれは何や?と思ったが、クローブ入り煙草一本をばら売りで買うぐらいのお金しかなかったので、結局買わず、わからずじまいだった。数年前偶然それを手に入れ、小冊子が何だかわかった。インドネシア製中国武侠小説の分冊本だったのだ。翻訳したものではなく、インドネシア人作家が書き下ろしたものだ。しかもすごいのは、作者は中国系インドネシア人なのだが、中国語の読み書きは全くできないそうだ!実際、私がインドネシアにいた頃は、今なら信じ難いが、中国語は事実上おおっぴらに使用することは禁止されていた。映画のポスターも漢字の部分はペンキが塗られてアルファベットに書き変えられていた。漢字を一切使わず、インドネシア語、つまりアルファベットだけで中国のチャンバラ小説を書くとはすごすぎる。(余談になるが、以前私は外国人に漢字を一切表記することなく、英語のみで「空手」と「唐手」の違いを説明して苦労したことがある。日本語が全く分からず、漢字の概念のない外国人に訓読みや音読み、同音異議語を伝えるのはかなりむづかしい。)このような小冊子は道端の売店や駄菓子屋みたいなところで分冊形式で売られていた。貸し本屋みたいなところで中高生が熱心に読んでいた。ほんの一部を訳してみたら、なんと中国の詩人・白居易の詩が出てくる。安っぽい武侠小説に古典が出てくるとはなかなか面白い。現在気が向いたら少しずつ翻訳中です。このブログの右欄の「ラベル」のところの「Pendekar Bunga Merah 紅花剣士」をクリックして読んでね!